2017年5月の主なニュースより。
1. KPMGのレポート "The truth about online consumers"
日経MJ 2017/5/10付 に、「オンライン購買 KPMG調査 ベビーブーム世代浸透」という記事で、会計事務所KPMGが全世界的に調査したオンライン購買に関するレポートのことが報じられました。ネット検索して調べてみたところ、その記事のデータの出所と思われるKPMGのレポートThe truth about online consumersを見つけました。
そのレポートでは、3つの世代に分けて世代別のオンライン購買の傾向を比較しています。また、全世界を地域別(アジア、欧州、北米、南米など)に分けて、オンライン購買の回数や使用機器の比較などをしています。公開されている情報は少し物足りないのですが、オンライン購買について世界的に調査したレポートは多くないので、貴重なレポートでしょう。
2. 特化型のフリマアプリ
5月9日、ノジマは、デジタル家電専門のフリマアプリnojima フリーマーケットをリリースしました。ノジマの店頭や、ノジマカスタマーセンターにて商品出品のサポートも行ったり、出品情報は「スペック自動入力」でカンタンに作成でき、最短3分で出品が可能、とのことです。店舗と商品情報を持つ強みを活かした取り組みといえるでしょう。
また、メルカリは、 本・CD・DVD専用フリマアプリのメルカリ カウルの提供を開始しました。バーコードスキャンで簡単出品、メルカリにも同時出品、といった特徴があります。こちらも出品が簡単という点で、利用者を増やす狙いなのでしょう。
3. Amazonフレッシュの反響(先月の続き)
4月21日、生鮮食品や日用品などを購入できるAmazonフレッシュが都内の一部エリアで開始されました。5月も様々なメディアで取り上げられました。
日経ビジネス2017年5月1日号「時事深層 INDUSTRY スーパーと激突、物流インフラにもろさも アマゾン生鮮宅配のアキレス腱」では、まず、価格競争力の問題を指摘。また、物流面の問題も次のように指摘しています。「アマゾンはファイズのような中堅・中小の物流会社を積極的に開拓。ただ、一部業者に関しては「届くのが異常に遅い」など消費者から不満の声も上がる。人手不足や過重労働という問題の根は業界全体に共通し、サービスの質を保つためには課題が多い。」
通販新聞も、2017/5/4・11・18号と3週にわたって「Amazonフレッシュの行方」を取り上げています。2017/5/4の記事はネット公開されていて、「川崎FC → Prime Now拠点 → 顧客」といった物流の仕組みが解説されています。2017/5/18号の記事では、「将来的な“配送自社化”の布石か」といった推測がされています。
4. KDDIのデータ活用への事業展開
KDDIは、デジタルデータを活用する事業展開に積極的です。
まず、KDDIはアクセンチュアと共同で、データ利活用のための「ARISE analytics」を設立することを発表しました。日経産業新聞2017/5/9「KDDI、非通信でも稼ぐ データ分析へ共同会社」という記事で取り上げられていました。リリース文によると、「KDDIグループのデータ利活用の中核的な役割を果たし、通信やEコマース、IoTなどの領域で人工知能 (AI) を含めた先進的なアナリティクス技術を提供」する狙いとのこと。アクセンチュアは、一昨年ファーストリテイリングとも提携しています。デジタル面での新規ビジネスを創出するために、アクセンチュアは頼られている感じです。
また、5月17日にはKDDI IoT クラウド ~データマーケット~というデータ取引所を6月中旬に開始することを発表しました。「提携パートナーが保有する、最新店舗情報、ID-POSデータ、将来人口推計、訪日外国人の動向解析データ、ストレスや心拍数などの生体情報、プローブデータ
(車両・走行挙動データ)、地震・被災度判定データといった7種のさまざまなデータを活用」できるというデータ取引所で、顧客が自社で収集したデータと組み合わせて分析等に利用できるとのこと。さらに、KDDIは活用分析ツール・サービスやトータル分析ソリューションも提供していて、データ取引に付加価値を加えようとしています。また、日経BPの記事によると、KDDIは、顧客企業が収集したIoTデータについても「他社でも活用できそうなものがあれば、個別に相談のうえ販売していきたい」と言っていて、取引するデータを拡大する意向のようです。
5. 特許庁は特許分類情報にIoTの広域ファセットを追加
特許庁は、4月から広域ファセット分類記号ZITを12の用途別に細分化した上で特許分類の付与を行っていましたが、それらが特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)に蓄積され、IoT関連技術に関する特許情報の収集・分析を行うことが可能となったことを先月発表しました。
成立した特許(特許公報)については、特許公報発行日が2016年12月27日以降のIoT関連の特許に対して、このZITのファセット分類が振られているようです。ただし、まだ細分化した用途別の12のファセットでは検索できません。この辺りはよく分かりません。
成立したビジネス方法特許より
以下、特許公報発行日が2017年4月のeビジネス関連の特許から、いくつかピックアップします。なお、各発明が実際にサービスに実装されているかは未確認です。
株式会社ソラコム 複数のSIMカードを利用するための管理方法及び管理サーバ(特許第6116085号) 平成29年4月19日発行
IoT機器のネットワーク接続の仕組みを提供しているソラコムの特許です。これ以前に、「無線端末にIPネットワークへのアクセスを提供するための通信システム及び通信方法」(特許6097467、特許5938507、特許5938498)が成立済です。
サイジニア株式会社 サーバ装置、端末装置、情報処理方法、およびプログラム(特許第6120467号) 2017年4月26日発行
撮影した写真を用いてレコメンドができる仕組みの特許です。デクワス.CAMERAに関する特許と思われます。
アリババ・グループ・ホールディング・リミテッド 支払い用の銀行カードの適応的選択のためのシステムと方法(特許第6095106号) 2017年4月12日発行
アリババは、既に日本でも数百の特許を成立させています。出願中を入れれば、700以上あります。しかし、その内、金融に関する特許はまだ1桁です。この特許は、中国で2009年に出願された発明で、何らかの取引を行った際の決済の方法に関する特許のようです。