2018年10月のeビジネス関連の主なニュースより。
1. AI活用の実態調査
日経コンピュータ2018年10月11日号の特集は、AI活用のリアル 113社実態調査でした。日経コンピュータが日本経済新聞と共同で国内大手企業(有効回答は85社)のAI(人工知能)活用実態を調査した記事でした。国内大手企業がAIを活用する最大の動機は「既存の製品やサービスの革新」(最も大きな期待として挙げた企業が37.6%、2番目に大きい期待とした企業が25.9%)で合わせると6割強を占めた。それに続くのが「コストの削減」で1番目または2番目の狙いとして挙げた企業は合わせて44.7%だった。3番目・4番目は、「売り上げの拡大」、「新規事業の開拓」の動機であった。また、6割が期待以上の成果という回答であった。私の感想としては、「新規事業の開拓」を狙う企業が予想以上に少ない感じがしました。AIを新規事業のネタとして使う企業がもっとあってもいいように感じました。
2. ネスレ日本と佐川急便 宅配で新サービス
通販新聞2018/10/11のネスレ日本と佐川急便 宅配で新サービス、個人や商店を拠点に受渡・配達や、日経ビジネス2018/10/08号「もう大手には頼らない ネスレが奇策、宅配値上げに対抗」というような記事で報道されていた新サービスです。両社は共同で、一般世帯や商店など地域コミュニティを活用した新たな宅配サービス「MACHI ECO(マチエコ)便」を開始。当初は東京と大阪の一部エリアでネスレの商品を対象に行い、ファンケルやP&G、ルシピアなど順次参加企業を拡大。来年末からは全国展開を行い、2015年までにサービス利用者100万人を目指す、とのことです。さらに、今後、ネスレと佐川急便が相互のノウハウなどを共有しながら「宅配マッチングプラットフォーム」を構築し全国展開を可能にしていくとのことです。宅配のラストワンマイルの革新的な新方式として期待したいと思います。なお、ネスレ日本がこのようなサービスを始めたのは、「ヤマトさんに『アマゾンに集中しないといけない』と言われてEC(電子商取引)の商品配送契約が打ち切りになった」という事情があったようです。
3. QRコードを使ったスマホ決済サービス「PayPay」の提供開始
ソフトバンクとヤフーの共同出資会社のペイペイは10月5日、バーコードを使ったスマホ決済サービス「PayPay」を提供開始したことを発表しました。「ユーザースキャン」方式と「ストアスキャン」方式の2通りを提供。インドのモバイル電子決済サービス最大手のPaytmの技術を基盤として開発したとのことです。さらに今月には、100億円あげちゃうキャンペーン(PayPayの支払いで20%還元。さらに、10回に1回の確率で全額還元)を12月4日より開始することを発表しました。ソフトバンクはスマホ決済サービス分野で、本気で攻めている感じです。
4. 試着してから買えるEC
三越伊勢丹は10月3日、「イセタントランクサービス」を開始したことを発表しました。通販新聞2018/10/18などで報じられています。働く女性をメインターゲットに、13ブランドのスタイリングセットを利用者の自宅に配送し、試着してもらった上で、気に入った服だけを購入できるサービスです。忙しくて百貨店で買い物を楽しむ時間のない女性向けのサービスのようてす。
また、10月25日、アマゾンジャパンは、Prime会員向けに無料の試着サービスを追加したと発表しました。新サービスの「プライム・ワードローブ」は、自宅に届けられた衣服や靴などを自宅で試着し、気に入った商品だけを購入するというもの。返品の際の送料は無料。これらの例のように、無料試着のサービスが広まりそうです。
成立したビジネス方法特許より
特許公報発行日が2018年9月に成立したeビジネス関連の特許は362件でした。ざっと見ましたが、この中で特に紹介したほうがいいような特許はありませんでした。ですので、今月は紹介する特許はありません。
eビジネス関連ではありませんが、10月にペッパーフードサービス社の「いきなりステーキ」関連の特許が復活した(一度は異議申立により取消になったが、知財高裁が異議申立を取り消す決定をした)ことについて記しておきたいと思います。さらに、今月には、上訴期間中に被告が上告を行わなかったため、ペッパーフードサービス社からこの特許についての勝訴が確定したというリリース文が出されています。成立が確定した特許は、ステーキの提供システム(特許第5946491号)という特許です。なお、外食関係ではラーメン「一蘭」の「味集中カウンター」に関する特許も有名です。