2018年11月のeビジネス関連の主なニュースより。
1. 今年の中国「独身の日」
今年も、11月11日の「独身の日」には中国でネットのセールなどがすごかったようです。日経BPの記事によると、アリババ集団は、ECサイト「天猫(Tmall)」や越境ECサイト「天猫国際(Tmall Global)」、オムニチャネル型の食品スーパー「盒馬鮮生(フーマー)」などで11日に24時間にセールを実施。流通総額は2135億元(約3兆4900億円)となり、昨年の流通総額を27%上回ったようです。日本企業もインパクトがある日です。越境ECの輸入元の地域別流通額ランキングでは日本が3年連続で1位となり、ブランド別ではユニ・チャームの紙オムツ「ムーニー」が2位、「花王」が3位、とのこと。京東集団(JDドットコム)も11日に同様のセールを開催。2社を合わせて、1日で6兆円超の流通総額になってようです。日本のBtoCのネット販売の4カ月分以上の額を、たった1日で販売したことになります。
2. 楽天の提携戦略
楽天西友ネットスーパーが本格始動しました。通販新聞2018/11/8の記事によると、千葉県柏市内にネットスーパー用の配送センターを新設したことで、全体の配送キャパシティーが1.5倍になる、とのこと。楽天と西友とは、Win-Winの関係になりそうな感じがします。ただし、他社は苦戦を強いられることになりそうです。日経ビジネス
2018/11/12号には「アマゾンと楽天・西友の攻勢で競争が激化 苦境ネットスーパー、ユニー撤退も」という記事があります。
また、楽天とKDDIは11月1日、決済・物流・通信分野で提携すると発表しました。この件についても通販新聞の記事があります。通販関連においては、楽天が手がける物流サービス「楽天スーパーロジスティクス」を、KDDIが運営する仮想モール「Wowma!(ワウマ)」の出店者が利用できるようにする、とのこと。その他、決済や通信でも提携するようです。かなり大規模な提携です。
3. 三越伊勢丹HD デジタル戦略を加速
百貨店もネットにIT化に積極的です。通販新聞 2018/11/22号の記事「三越伊勢丹HD デジタル戦略を加速」によると、三越伊勢丹ホールディングスが11月7日に発表した新たな成長戦略では、グループの目指す姿を「ITと店舗、人の力を生かした新時代のプラットフォーマー」としています。デジタル化が大きなテーマになっています。ネットの活用の点では、基幹店のすべての商品がECでも地域店でも買えるようにするという、という方針です。
4. 音楽流通では日本は「ストリーミング後進国」
日経MJの11月30日の「ユーチューブ・ミュージック上陸、動画公開アーティスト呼び水」という記事によると、音楽の売り上げは、日本はCD販売が依然51%と高く、ストリーミング
11%です。そのため、「ストリーミング後進国」と表現されています。日経MJ 11月2日の記事によると、世界のオンライン音楽視聴の状況は、利用時間の割合で、動画サービス(YouTube等)=52%、有料音楽ストリーミング=28%、無料ストリーミング=20%、となっています。有料のストリーミングがかなり普及してきたことが分かります。
成立したビジネス方法特許より
特許公報発行日が2018年10月に成立したeビジネス関連の特許は509件でした。それらの中から次の3件をご紹介します。
株式会社電通 情報処理装置、情報処理方法、情報処理システム及びプログラム(特許6408744)
2018年10月17日発行
ユーザが複数のデバイスを利用する場合であっても、各デバイスを関連付けて当該ユーザへの好適な広告配信を実現する仕組みの発明。セカンドスクリーン(利用者がテレビとスマホ等の2種類の画面を同時に見る行為)対応のTV Live Meta Moduleに関する特許とは思われます
スルガ銀行株式会社 事前与信枠及び推奨与信枠算出装置(特許6413205)
2018年10月31日発行
スルガ銀行は利用者の与信枠算出の特許をいろいろと持っています。この特許は、顧客の性格や行動特性、及びスマホアプリの利用状況から、「計画性」、「楽観性」、「勤勉性」、「慎重」、「外交性」、「協調性」の6つの要素を分析して、与信枠算出するという発明。このような観点は、貸付けの正当性からいって少し無理があるように思います。かなり無理をしてでも、貸し付けたいという文化になっていたのでしょうか。
フェイスブック,インク. ソーシャルネットワーキングシステムを用いてサードパーティ販売業者のショッピングカートに製品を追加するシステムおよび方法(特許6411476)
2018年10月24日発行
いわゆる「ソーシャルコマース」に関する発明。この特許は、それを「リダイレクトすることなく」実現する仕組みについての発明のようです。