成立したeビジネス/デジタルビジネス関連の特許(FI=G06Q)で、特許公報発行日が2021年2月のものは436件(うち実用新案3件)でした。それらの中から次の4つをご紹介します(ダイレクトリンクを張る関係で前々月に発行された登録特許から選んでいます)。
株式会社Z会 学習効果推定装置、学習効果推定方法、プログラム(特許6832410)
2021年2月24日発行。
「ユーザの範囲データ内の正解確率に基づく理解度と、理解度の時系列データの変動から理解度信頼度を求めて学習効果を推定」する仕組みの発明です。そのため、Z会の「AIスマート深化学習」で到達度を分析する機能に関する発明のようです。
株式会社日本デジタル研究所 会計処理システム、会計処理装置、会計処理プログラム及び会計処理方法(特許6836295)
2021年2月24日発行。
会計処理の申告データに電子署名を付加することが特徴の申告書作成のプロセスの請求項が特許化されました。日本デジタル研究所の会計事務所向けのJDL
Platformサービスに関する発明と思われます。なお、これは分割出願されたもので、元の出願も既に成立していました。それは、特許第6791519号で顧問先を複数抱える会計事務所向けの請求項の発明。
トヨタ自動車株式会社 デジタルツインシミュレーションに基づく車両の故障予測(特許6825634)
2021年2月3日発行。
走行履歴や行われたメンテナンスサービスの情報も考慮して、デジタルツインシミュレーションによって、「将来のタイミングにおいて前記車両に含まれる構成要素が故障することを予測」する仕組み。「故障が発生する前に、1つ以上のデジタルツインシミュレーションに基づいて、車両のメンテナンスを予防的にスケジュール」する仕組みも含んでいます。産業用にはデジタルツインがメンテナンスに用いられている例は既にありますが、自家用車に対してもこのような利用方法が検討されているということです。
株式会社カブク 価格見積もりシステム、価格見積もり方法及びプログラム(特許6831676)
2021年2月17日発行。
3次元データに基づき、仮想空間に配置された製品を所定の視点から見た外観を示す2次元画像を生成し、それと既存製品画像との類似度に基づき既存製品画像を選択し、それに関連付けられた価格情報のデータを出力する、というような仕組みの発明。カブクのオンデマンド製造プラットフォームの即時見積サービスに関する発明と思われます。
その他、主なeビジネス/デジタルビジネス関連の動向より
その他、注目すべき情報です。主に先月発表の情報より。
アマゾンジャパン 名古屋で生鮮品EC開始、バローHDと組み8000品を取扱
通販新聞2021年3月11日より。既に首都圏と大阪では、アマゾンはライフと組んで生鮮品ECを行っていますが、愛知・名古屋市内ではバローと組んでサービスを夏に開始することを発表しました。今後も、地域が重ならないような方法で、他のスーパーと提携してサービス地域を広げるかもしれません。
百家争鳴Appleカー
日経産業新聞と日経クロステックの共同連載企画。日経産業新聞には、2021/3/29-4/2の1週間に渡って連載されました。アップルはどんな自動車を作るのか、大きな話題となっています。特に興味深い点としては、退屈な車アップデート ソフト更新、EVもiPhone流という日経産業新聞2021/3/29-1面の記事に、Appleカーはソフト更新で販売後に機能向上することが予想されています。
ヤマダHD会長「アマゾンさんは勝てませんよ、この業界では」
日経ビジネス 2021年3月22日号 編集長インタビューより。ヤマダホールディングス会長 山田 昇氏へのインタビュー記事。家電量販店の強みとして、「うちは車で20分ぐらいのところに店がある。そうすると店舗のほうがお客さんにとっては便利なんです」や「自分で売り、説明し、配達できるセールスエンジニアのサービスを各店で始めています。ワントゥーワンの人間関係ができれば、その人に注文が来る。これまでは価格が非常に大きな競争軸だったけれども、今はそうではなくて、サービスや人とのつながりみたいなものが競争の軸になってくる」などをあげています。