成立したeビジネス/デジタルビジネス関連の特許(FI=G06Q)で、特許公報発行日が2024年1月のものは860件(うち実用新案2件)でした。それらの中から次の4つをご紹介します(前々月に発行された登録特許から選んでいます)。
株式会社セブン&アイ・ホールディングス 情報処理システム、情報処理方法及びプログラム(特許7417780)
2024年1月18日発行。
店舗の利益を最大化するために最適な値引率を算出する仕組みに関する発明。日刊工業新聞 2023年07月12日にセブン&アイが食品値引き最適化アルゴリズム開発、損失率7%改善という記事があり、この記事の中で書かれている開発者の1名はこの特許の発明者でしたので、この記事に書かれているスーパーマーケットの食品部門向けの値引き最適化アルゴリズムに関する発明と思われます。
株式会社セブン銀行 取引システム、取引装置、取引方法、およびプログラム(特許7413601)
2024年1月15日発行。
キャッシュカードを用いずに、安全性と利便性が高い金融取引を行うシステムを提供するために利用者の顔画像を照合するという発明。2024年春をめどに開始を予定しているATMカードなしでの顔認証による出入金サービス(Impress Watchより)に関する発明と思われます。
BASE株式会社 プログラム、情報処理装置、方法及びシステム(特許7411137)
2024年1月10日発行。
ユーザからの最低限の入力に基づいて、適切な電子商取引サイトの商品説明文を高確率で取得可能なプロンプトをシステムが生成し、ユーザの手直しを極力削減できる商品説明文案をchatGPTから取得するという仕組み。BASE AI アシスタントの中の機能に関する発明と思われます。なお、生成AIを活用したビジネスモデル特許は、先々月にご紹介したGMOペパボの特許の他、ビズリーチの特許が複数成立しています。
株式会社JTBコミュニケーションデザイン 組織変革支援システム、組織変革支援方法、及び組織変革支援プログラム(特許7410687)
2024年1月10日発行。
ユーザごとの組織開発テーマや組織課題に応じたゴールを設定し、そのゴールに応じたアンケートの設問を柔軟に設計可能な組織変革支援システムを提供する仕組みの発明。従業員意識調査をベースに組織の現状を可視化し自律的な組織変革につなげるクラウド型ソリューションWILL CANVASに関する発明のようです。そのサービスの機能拡張版提供開始日の3日前に、この特許は出願されています。なお、JTBは、非旅行業分野(地域や企業の課題解決に貢献するソリューション事業など)を強化する方針のようです。
その他、主なeビジネス/デジタルビジネス関連の動向より
その他、注目すべき情報です。主に先月発表の情報より。
特集 アクセンチュア膨張 DX1強、異形のキメラ経営
日経ビジネス 2024年2月12日号より。最近DXでよく話題になるアクセンチュアについての特集。ふくおかFGや資生堂のDXをどのように支えてきたかや、顧客に合わせた体制作りなどが分かります。
三菱UFJ信託、「情報銀行」5月に終了 利用者伸びず
日経のサイト2024年2月19日より。「想定より利用者が伸びず、競合するサービスとの違いを打ち出すことが難しいと判断した」とのこと。MEYに続き、三菱UFJ信託の情報銀行も終了してしまいました。情報銀行については、健康・医療情報の提供に関しての動向が注目されます。EC向け技術の動向(個人情報ビジネス、レコメンデーション、API等)というページの中の情報銀行の情報を今月更新しました。
調査レポート 2023年 日本の広告費
電通が2月27日に公開。2023年の総広告費は、通年で7兆3,167億円(前年比3.0%増)。インターネット広告費や、人流の活発化に伴って増加した「イベント・展示・映像ほか」などのプロモーションメディア広告費が、広告市場全体の成長に寄与したようです。「新聞広告費」と「テレビメディア広告費」は減少。日経産業新聞が3月末で休刊するのは、発行部数の減少だけでなく広告費の減少も大きいと思われます。