成立したeビジネス/デジタルビジネス関連の特許/実用新案(FI=G06Q)で、特許公報発行日が2024年7月のものは970件(うち実用新案4件)でした。それらの中から次の4つをご紹介します(前々月に発行された登録特許から選んでいます)。
GMOペパボ株式会社 電子商取引サーバ及び電子商取引サーバ用プログラム(特許7518959)
2024年7月18日発行。
新規性喪失の例外の表示があります。ハンドメイドマーケットアプリのミンネが、イベント限定作品の対面販売で在庫切れが発生した際など、作品のQRコードを共有し、カメラで読み取ってもらうことで『限定公開』された作品ページを閲覧、購入可能とする仕組みを提供しています。その発明のようです。
ブルーモ証券株式会社 プログラム、情報処理装置及び情報処理方法(特許7523175)
2024年7月26日発行。
新規性喪失の例外の表示がありますし、特許成立のリリースも発表されています。ポートフォリオ投資の仕組みにおいて、「ユーザーが投資したい銘柄や比率を決められる」点を担保しつつ、その実現に必要な売買注文計算・発注はシステムが処理して省力化される点、「他のユーザーと運用状況を比較できる点」及び「他のユーザーの運用方針を簡単に自分のポートフォリオに組み込める点」、が新規性として評価されて成立したとのことです。
東銀リースビジネスイノベーション株式会社 情報管理プラットフォームシステム及び、その処理方法(特許7520472)
2024年7月23日発行。
ブロックチェーンを用いた情報の管理を様々なサービスに対して簡便に提供する情報管理プラットフォームシステムを提供することを目的とした発明。東銀リースビジネスイノベーションの電子契約サービス「AgreeLedger」の基盤として利用するブロックチェーンによる電子認証プラットフォーム「Xross-Ledger Trust」に関する発明と思われます。
株式会社パンフォーユー 情報処理システム(特許7520340)
2024年7月23日発行。
所定の外観を有する所定種類の飲食物(例えばパン)を創造した者と、その飲食物の製造者とを分離して管理することができるという仕組みの発明。この発明は、パンフォーユー(全国のどこかのパン屋からのパンの定期便)のサービスに関するものではなく、パンを小ロットから発注できるOEMプラットフォーム「パンフォーユーBiz」に関する発明と思われます。実際に実施しているかは分かりませんが、確かに町のパン屋に製造能力が足りない場合、著作物としての権利は創作したパン屋に残して、製造は別のパン製造業者に任せることが考えられます。パンフォーユーは、パンを冷凍する技術の「パン冷凍保存袋」と「冷凍するタイミング」で特許を取得しているようですが、このようなビジネスモデルの仕組みを特許化できたことは仲介型プラットフォーム確立のために有用でしょう。
その他、主なeビジネス/デジタルビジネス関連の動向より
その他、注目すべき情報です。主に先月発表の情報より。
九州MaaS開始
九州MaaS協議会により8月1日に発表されました。九州が一体となって取り組むMaaSなので、インパクトは大きいでしょう。日刊工業新聞2024年8月15日の記事デジタルチケット充実、100券種…「九州MaaS」の全容などで報じられています。利用者はMy Routeというアプリでチケットを購入するとのこと。
日本経済新聞社による2023年度百貨店調査と2023年度コンビニエンスストア調査
日本経済新聞社がだいたい毎年8月に発表する調査報告。2023年度 百貨店調査は、8月28日の日経MJ 1面に掲載。国内百貨店の既存店売上高は、訪日客消費がけん引し前の年度比9.7%増(増収は3年連続)。コロナ禍以降は都市と地方の格差が拡大。2023年度コンビニエンスストア調査は、8月21日の日経MJ 1面に掲載。国内の店舗数が5万7594店舗と前回調査から0.3%減少。中堅以下のコンビニではより減少傾向が鮮明。
楽天、倉庫型ネットスーパーを「楽天マート」と改称し、9月25日より運営開始
楽天は、西友と共同運営してきた倉庫型の「楽天西友ネットスーパー」事業を楽天単独の「楽天マート」に改称して9月25日にサービスを開始すると8月7日に発表。西友の大久保社長は日経ビジネスの記事の中で、「倉庫型のネットスーパーは投資額が大きく回収期間が長すぎます。稼働率が上がらないと利益を確保できません。一般的な食品スーパーの経営とは合わないでしょう。」と発言していましたので、西友は店舗出荷型のネットスーパーだけに注力して、倉庫型は楽天に任せることにしたのでしょう。