成立したeビジネス/デジタルビジネス関連の特許/実用新案(FI=G06Q)で、特許公報発行日が2024年9月のものは860件(うち実用新案5件)でした。それらの中から次の4つをご紹介します(前々月に発行された登録特許から選んでいます)。今回は、4つとも金融に関する発明から選んでみました。既存企業の3件と新規参入企業の1件です。

株式会社三菱UFJ銀行 金融機関サーバ、方法、プログラム、およびセルフ取引システム(特許7551986)

 2024年9月18日発行。
 新規性喪失の例外の表示があります。顧客が金融機関の店頭にて自身で安全に取引するためにQRコードを活用する仕組み。三菱UFJ銀行が実施している店頭QRコード認証に関する発明のようです。

ニッセイアセットマネジメント株式会社 金融商品管理装置、金融商品管理装置の制御方法及びプログラム(特許7549754)

 2024年9月11日発行。
 この特許も新規性喪失の例外の表示があります。優遇措置の対象になる金融商品への「自動割当」・「自動組入」・「自動空き枠拡張」の機能の発明。ニッセイアセットマネジメントの投資一任運用サービスGoal Navi 中のSmart NISA機能に関する発明のようです。そのリリース文の中に「特許出願を準備しています」と書かれています。

東京海上ディーアール株式会社 安全運転支援装置、安全運転支援方法及びプログラム(特許7549686)

 2024年9月11日発行。
 事故実績データと運転データとに基づいて、運転時のリスクの診断を行い、発生しやすい事故パターンの予測を行い、その予測結果に対応した教育用コンテンツを選択して教育用端末に配信する仕組み。東京海上ディーアールが企業向けに提供しているドライブレコーダ活用コンサルティングに関する発明と思われます。

株式会社ヤマップネイチャランス損害保険 登山キャンセル補償型保険システム及びプログラム(特許7549689)

 2024年9月11日発行。
 登山者SNSのヤマップは、YAMAPプラットフォームに蓄積されたビッグデータを活用した新しい損害保険商品を提供する狙いで、今年5月に株式会社ヤマップネイチャランス損害保険を設立しました。日経MJ 2024/11/22の記事によると、ヤマップは保険事業を4つの収益源のうちの1つにしたいとのことです。この登山キャンセル補償型保険の発明はまだ発表されていませんが、ヤマップが持つデータを活用して実現できると思われます。登山当日の登山環境が、登山キャンセル事由に該当するか否かを判定し、登山当日の加入者の位置情報に基づいて登山を中止または中断したかを判定し、それらの判定結果に基づいて、加入者への補償金の支払い可否を決定する仕組み。

 

その他、主なeビジネス/デジタルビジネス関連の動向より

 その他、注目すべき情報です。主に先月発表の情報より。

連載 特許でのぞく、孫正義氏の未来ビジョン
 先月、日経クロステックにこのような連載記事が載りました。ソフトバンク創業者自らが最近も数百の特許を出願しているというのは驚きです。未来志向の発明のようで、ほとんどが特許審査請求の手続きをまだしていないようです。そのため、他社に特許をとられないための出願かもしれません。今後、実際に手掛ける事業に関する発明は審査請求してくるでしょうから、どの特許出願を審査請求して特許取得を目指すかが注目されるでしょう。

縁の下で支える住友商事 AIで進化するサミット スーパー超える存在に
 日経ビジネス 2024年10月14日号より。得意とする楽しい売り場作りに加え、住商と共にデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める。先に見据えるのはリテールメディア(小売り広告)の展開など、スーパーを超える存在だ、という内容。今月、住友商事、セブン&アイのスーパー事業統括会社買収検討が日経で報じられました。住友商事は傘下のサミットとの相乗効果を期待しているようです。なお、先月にはイトーヨーカ堂はネットスーパー事業から撤退することを発表して、ネットスーパーに積極的なイオンとは対照的です。住友商事に買収されたほうが未来はあると思います。

東日本旅客鉄道株式会社 鉄道固有の知識を学習した「鉄道版生成 AI」を開発します
 先月、JR東日本がこのような発表をしました。一般的には、企業はRAG機能を用いて企業独自のデータを生成AIで活用しますが、ITベンダー以外の一般企業が、業界固有の生成AIの開発を行うのはいろいろと大変だと思われます。

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