成立したeビジネス/デジタルビジネス関連の特許/実用新案(FI=G06Q)で、特許公報発行日が2025年5月のものは779件(うち実用新案0件)でした。それらの中から次の4つをご紹介します(前々月に発行された登録特許から選んでいます)。今回の4件はすべて、「新規性喪失の例外の表示」がついた特許ですので、実施済みの発明と思われます。

株式会社博報堂DYホールディングス+株式会社博報堂テクノロジーズ 支援装置、支援方法、及びコンピュータプログラム(特許7680615)

 2025年5月20日発行。
 「表示領域に入力した入力情報に対し、客観的な関連データに基づく提案、示唆及び評価を行うように人工知能に要求することができる。このため、ユーザは、人工知能からより有効な提案、示唆及び評価を得ることができる。」という発明。新規性喪失の例外の表示によると、生成AIを活用したクリエイティブ・プラットフォームでの、デジタル広告制作ワークフローに関するAI活用に関する発明と思われます。広告制作のプロセスへの生成AI活用は、他の企業ではサイバーエージェントなども積極的です。なお、5月には博報堂テクノロジーズのTV AaaS Formation Optimizerに関する発明情報処理システム、情報処理方法、及びコンピュータプログラム(特許7680609)も特許成立しています

三菱商事株式会社  情報処理装置(特許7676639)

 2025年5月14日発行。
 在庫の適正化を図りつつ、発注業務の効率化を実現するための発明。新規性喪失の例外の表示によると、鉄鋼などの素材流通の在庫最適化ツールM-Stock(エム・ストック)の仕組みに関する発明のようです。

JX金属株式会社 金属資源のリサイクルを管理する方法(特許7675918)

 2025年5月13日発行。
 特定の属性を持つリサイクル100%の素材を利用できる金属資源のリサイクルを管理する方法を提供する、という発明。新規性喪失の例外の表示によると、100%リサイクル電気銅供給モデルの仕組みに関する発明と思われます。

株式会社カカクコム  情報処理装置、情報処理方法及びプログラム(特許7683109)

 2025年5月26日発行。
 顧客が利用規約に違反することとなった場合に顧客に対して違反金を請求する仕組みの発明。新規性喪失の例外の表示によると、食べログのインバウンド向け予約において、キャンセルポリシーに抵触したユーザーのクレジットカードにキャンセル料を請求する機能に関する発明のようです。

 

その他、主なeビジネス/デジタルビジネス関連の動向より

 その他、注目すべき情報です。主に先月発表の情報より。

「ITパスポートの次」に受ける試験新設 経産省、情報処理技術者試験を見直し
 日経コンピュータ 2025/6/26号より。先月も紹介した話ですが、経済産業省はデータ管理やビジネスデザインのスキルを対象とした試験の新設を検討している、とのこと。元ネタは、経済産業省の「Society 5.0時代のデジタル人材育成に関する検討会」のWGが5月に発表したSociety 5.0 時代のデジタル人材育成に関する検討会 報告書-「スキルベースの人材育成」を目指して-という報告書の中の検討事項の記述のようです。

三菱UFJのリテール、雌伏のM&Aが収穫期 フルラインにこだわり
 日経の記事「リテール再構築㊤三菱UFJフィナンシャル・グループ」2025年6月17日より。三井住友のOlive(オリーブ)に対抗して、エムットで金融のフルライン化を狙う戦略。重視する指標は「生涯提供価値」(LTV)とのことですが、まずは市場シェアをある程度確保したいという気持ちはあるでしょう。

買い物はAIで完結――VisaとMastercardが競う「AIエージェント型コマース」で、ECはどう変わる
 ITmediaの記事 2025年06月18日より。「エージェント型(Agentic)AI」は、消費者が自分の条件を設定すると、AIが代理で最適な商品やサービスを探して購入してくれる仕組み、とのこと。VisaとMastercardは、既にこの新たな購買形態に対応する決済基盤を整備しようとしているという話。生成AIの普及の影響がこんなところにまで及んでいるということ。

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